ジャンダルム 2014.9.28

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新穂高~白出沢~奥穂高~西穂高~新穂高 (日帰り)
快晴/2名
2:30スタート、16:20西穂高駅口(ロープウェイ)

~山行前に気にかけていたこと~

●落石
●熊
●ザックの軽量化

Nさんに誘われ、一度は行ってみたかった稜線。不安は、自分が体力的にこのコースの日帰りが可能か?
夕方になって知った御岳の噴火のニュースを見ながら、初めての稜線を入念にシュミレーション。久々に緊張して眠れなかった。

満天の星空のもと2:30スタート。
白出沢分岐までは2度目なのでサクサクっと。NZとSNさんと日帰り槍をしたことを懐かしく思い出す。ヘタレたな~

白出沢は、ひたすら登り一辺倒。我慢の山行。最初の樹林帯は鈴と笛でクマ対策。
白出沢に降りる。が、下流にそっくりな流木が見え、惑わされる。ポイントの重太郎橋(丸太)が見つからない。暗闇をヘッデンで照らすと急峻な谷ではないか。右岸も左岸も岸壁。全貌が見えないだけに落石の不安が頭をよぎり早々にメット着用する。
暗闇の急峻な沢は怖い。沢の音が余計に怖さを増す。想定外にここで緊張感が走り、重太郎橋を探すのにかなりロスしてしまった。

何とか見つけることができ、切り立った白出岩切道を進む。途中、うっすらと明るくなり始め紅葉が分かるようになる。標高2000mくらいがジャスト?
鉱石沢、荷継沢と経由し、いよいよ長丁場白出沢の本番へ。振り返ると雲海に笠ヶ岳、錫杖岳。遠く白山。地元の白山は本当に見えるだけで心強い。地元の山ってパワーあると思う。

白出沢。長い。本当に長い。そして私はとても落石が気になる。雪渓上には確実に落石がある。良いのか悪いのか?ルートを外れて沢の中央を極力歩いた。
長い。コルの石垣が見えているのに距離が縮まない。5分おきに足が止まる。奥穂高山荘手前の3mが一番辛かった。足と腰にきていた。

 

スタートから5時間半、陽の当たらない白出沢から一転、快晴で眩しい山荘へやっと到着した。約束のコーヒーで大休止30分。ストレッチして足腰痛を取り除く。
ここからは我慢してきた分、楽しみたい。山荘前のピークを登ると、360度の展望になった。富士山、槍、白山は大きく見えていた。
人で賑わう奥穂高をサクっとやって、今回のメイン稜線へ。ここで南に噴煙を上げている御岳が見え、何とも言えない気持ちに。元気に歩いているこちらが心苦しくなった。

一番の難所と言われる「馬の背」に。高度感抜群。下ってその先のナイフリッジが怖い。両サイドに奈落の底が見える。最初左のスラブ状に降りたが、んん??となって登り返し岐阜側へ。そのままホールドに従って下り馬の背終了。

ロバの耳はピークに寄らず、壁面をトラバースしてジャンダルムへ。
巻道は行かず、とりあえず直登。取り付きで下から見上げてルートを確認。中央に残置ボルト?があるがちょっといやらしい。
私が左から登ろうとすると、Nさんが直登しようとしていた。真横から見るとかなり怖い。思わず”やめて~!!”
そうは言ってもパワーのあるNさん。Nさんが登りきったのを見て、私も試みたが核心部でどうしても2手目が不安定。身体のバランスが悪い。この状態が続くと落ちる。イチカバチカで飛びつくようなことはできない。一番この日で緊張した瞬間。

無理することなくやめて注意しながら降りた。この降りるのもとても怖かった。ロープがあれば安心だし、シュリンゲを持っていれば登れたのに・・・と大反省。結局、降りて巻道西穂側からジャンダルムへ。Nさんが笑顔で待っていてくれた。
ジャンダルムでは、シャリバテだったのでエネルギー補給。ところが既に予定より1時間半遅れていた。このままではロープウェイの最終に間に合わない。西穂高には遅くても14時につかないと。

 

これから先は、とにかく歩いた。Nさん曰く、足を止めずにゆっくりでもいいからと、休みながら歩けと。・・・休みながら歩けって??
アップダウンが激しくて、急な下り、急な登りの連続。鎖と高度感のあるトラバース道。ジャンダルムを超えてもそれなりに難所と感じた。やっぱり一番の難所一般道。スリリングだ。

疲労感はありながらも、不思議と足はまだまだイケると感じていた。そんな中、おばさま方をアンザイレンしていた山岳ガイドさんから、このままだと最終に間に合わない、林道は歩かせない(西穂山荘泊になる)と聞く。
疲労に絶望感大。頭はロープウェイに間に合わなかった策でいっぱい。西穂山荘にビバークするのが一般的かもしれないが、やはりあの手この手が頭をよぎる。何としても降りたい。

疲れと焦り。こんな時こそ集中、絶対に怪我があってはならないと気を引き締める。背後からNさんがエールを送ってくれる。小休止を入れながらも、とにかく極力足を止めずに歩くこと。
下っては登りの繰り返しで、一体いくつピークを超えたんだろう?と。予習したのにもうそんな頭はなかった。

ところが、ある時から、思ってる以上に登りが早いかも?時間稼いでる?少しずつ時間縮めたらもしかして間に合うかも?と感じてきた。足はゆっくりでもまだまだ動く。
そう感じると、ギリギリまで頑張ってみよう、大丈夫だ、そう思うようになった。
しかし、西穂高が来ない。見えてるのに到着しない。疲労感に急登の岩場は本当に身体にこたえる。まだか・・・。

しばらくして人が数名見えるピークが見えた。西穂高だった。
このピークが西穂高だとは全く思っていなかったので、驚いたなんてもんじゃない。間に合う。Nさんと歓喜。諦めなくて良かった、信じて良かったと思えた瞬間だった。
西穂高で笑顔笑顔、安堵安堵。数名の登山者と談笑もできた。

 

この先は淡々と。西穂山荘で心身ともに整えて最終のロープウェイで下山した。
歩行13時間。長い白出沢を登って、無事この稜線を歩けた。良かった。そしてNさんの超人的な体力を実感した一日だった。次はきっとシュリンゲ持参、1泊で行く。安全を少しでも背負って歩くことが山行を楽しいものにしてくれると思う。良い経験をさせてもらった。

そうそう、余裕のない私は奥穂山荘だけでしたが、Nさんはずっとゴミ拾いを意識して歩いていた。
エライ!

私も頑張った。自分で自分にエール。

 

2:30 新穂高温泉駐車場
5:00 重太郎橋
5:40 荷継沢
7:50-8:30 穂高岳山荘
9:00 奥穂高岳
9:30 馬の背
11:00 ジャンダルム
12:15 天狗岳
12:30 逆層スラブ
13:40 西穂高岳
14:10 ピラミッドピーク
14:30 西穂高独漂
15:15-15:30 西穂山荘
16:20 西穂高駅口